思い起せば、ワシが初めてスキーをやったのは小学校6年生の冬。 学校行事のスキー教室で、長野県の車山高原に行ったのが始まりであった。 以来、中学生、高校生と同様に学校のスキー教室があったので、それ相応に滑る機会があったのだが、学校行事の一環から外れて、プライベートで初めてスキーに行ったのは大学1年生の時であった。 その頃はまっとうなウェアも持っていなかったので、上はトレーナー(しかもバイク用のモリワキのヤツ!!) 、下はそのまんまジーパン姿にスパッツのみ友人から借りるという、とてつもない出で立ち。 当然ながらスキー道具なんぞ、オールレンタルである。(しかも粗悪品) 今では考えらないことだが、その当時はバイトで稼いだカネ全てをバイクに注込んでいたので、とても高価なスキー道具に使える余裕なんぞは、ミジンコも無かったのだ。
その後、何とかスキーウェアだけは買って、学生時代は冬になると相応に仲間連中と格安パックスキーで3泊、4泊程度のスキーツアーに出掛けたものである。 そう、現東京都庁がまだ更地だった時代、巷では “ 私をスキーに連れてって” が流行った時代であった。(遠い目) いわゆるゲレンデ・スキー(アルペン・スキー)はその後、社会人になってからも念願のスキー板を購入たりなんかして相応に続けていたのだが、20代後半で突然我が身を襲ったあの悪夢、椎間板ヘルニアの病魔との戦いを境にワシのスキー趣味には一応の終止符が打たれたのであった。
あれから幾年月..。 歳だけは立派にとったオヤジは何を血迷ったか、この歳でイキナリ山スキーを始めてしまった訳である。 一応、3年程前にアルペンスキーだけはおっかなびっくり再開して、取り敢えずの勘処だけは取り戻しておいたのであるが、よもやまさかで始めた山スキー、【 厳密にはカミさんにたぶらかされたと断言して良いのであるが..。 】 果てさてその初陣の結果は如何なります事やら..。
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蔵王山系を貫く山形道から見た、春の月山である。 今年は例年になく、雪が多かったので、春スキーも冬季と変わりなく出来るみたいであるのだ。
町営月山スキー場へと向かう山形県道114号は、5月の時期といえど、まだまだこれだけの残雪があるのだ。
で、スキー場に着くまでの道中、道路脇の雪塊の下には、もぉ~~~採っても採っても採り切れない程のフキノトウが辺り一面に生えまくっているのである。
当然ながら、元祖山菜バスターズを謳うワシがこの好機を見逃す訳もなく、ちゃっちゃと道路脇にクルマを止めて、フキノトウ採りに精を出したことは言うまでもない。w
1時間ほどの道草を食った後、採った獲物はそこらに大量に積もっている氷冷剤で強制冷却しつつ、クーラーBoxに収めてから快晴の月山スキー場へと到着した。
ちゃっちゃと着替えて準備をして、板を担いでえっちらおっちらとリフト乗り場に向かう。 確か片道1000円くらい取られたかと思うが、こんな時期にこんな場所にわざわざスキーをヤリに来る酔狂な連中は、例え片道2000円取られてもきっと使うであろなぁ~...等と、余計なことを考えつつも中腹のリフト終点を目指す。
前を行くカミさんは余裕しゃくしゃく。 このオバン、もとい!!この人、山スキー歴ぼちぼち12年になろうかという経歴だけはベテラン故、妙に緊張感が無い姿である。
おおっ!!! リフトの下にはそこかしこにフキノトウがイパ~~イ生えているぅ!! 【 って、アンタ散々採っただろうにさ..。 】
あっちゃこっちゃに生えまくっているフキノトウに狂喜しているウチにささとリフト終点に着いてもうた。 皆さん各々スキー支度をして白銀のエリア に踏み出して行きます。
スキー板に登行用のシールを張り付けて、日焼け止めを念入りに塗ったら出発準備完了~ いんやー、、、しかしエエ天気でおますなぁ~。 サングラスが無いと、1mmくらいしか目が開けられぬ。
湯殿山方面へと向かう山スキーヤー達と別れて、我々は月山方面へのトレースルートをパタパタと進むことにした。 見かけは大した距離に見えないが、実はど~~~して、コレがかなりのハードワークなのであった..。 特にワシの様な初心者には。
こちらは初心者のワシに手本を見せる為、先行するカミさん。 この時ばかりと鼻高々なのがシャクにさわる!! まぁ~、、、、ワシの事はど~でもいいから好き勝手に先に行ってくれい!!
途中、何度か休憩を入れながらも、えっちらおっちらと擦り足で緩斜面を上って行く。 とかく初心者は足を上げてスキー板を持ち上げて歩いてしまう為、必要以上に体力を消耗してバテテしまうので気を付けろ!!と散々レクチャーされたので、こちらも意識的にスリスリスリスリと板を擦りつつ前に足を出して進む。
登り始めて1時間30分くらいかな?? やっとこ、山頂直下の急登部分が見えてきた。
さぁ~て、体も慣れてきたし此処からが本番上りである。 あの急斜面にゴマ塩を撒いた様に見える、山スキーヤー達が見えますでせうか??
当然ながら急登箇所はベタ足で真っ直ぐ上る事は出来ないので、この様にジグザグを切ってターンしながら登って行く。 慣れないワシはこの急登箇所で2回も板が外れてしぃ~まった。
山頂まであと少しとなった割と平地な場所では、雪が解けてしまって地面がむき出しになっている箇所がいくつか出てくる。
無雪区間は大体300m~400mくらいでしょうかね?? こんな場所はすべからく板を外して担いで歩くしかないのだ。 メンドいけど仕方がない。 因みに我々はスキー板を置いて山頂往復したのはいうまでもない。w
ズンズンと登り詰めるだけでは能が無い。 せっかくの名峰月山に来たのだから、景色を存分に楽しまねばな。 という訳で、振り返ったそこには絶景の東北の山の連なりがあった。
静かな空気...。 まっ白い無音の世界だけがただそこに広がっている。 雪山だねぇ~
岩稜帯をクリアすると、いよいよ月山山頂が見えてきた。 山頂直下は雪が大分解けていた。
お昼前、念願の月山山頂に到着した。 山頂にある社屋は完全に雪に埋没して屋根の上まで積もった雪の上に立つしかないという珍事態になった。(笑)
雪のお蔭で広~い山頂にはヒトがイパ~イ。 向こうに見えるのは、この後登る予定の鳥海山である。
こちら山頂にある神社社屋の本殿ですかねー??? ともかく雪に埋もれていて確認のしようがないのだ。
さて、存分に山頂の景色を楽しんだならば、腹が減っては下山が出来ぬ!とばかりにランチタイム である。 っと、その前に5分ほど雪に突き刺して気持ちだけ冷やしたビール で先ずは乾杯でおます!
腹を満たして一服した後は、スキーを外した場所まで戻って、いよいよ待ってました の大滑走大会である。 山頂直下の急斜面も何のその。 こちとら気合と度胸だけで滑っているんでぇい!! とばかりにテレーマーク滑りで滑走して行く輩を追撃滑りで追い詰める。
行きはシンドく、めちゃくちゃ重労働で登った山も、下りはあっ っちゅ~間に滑り下りて来てしまう。 あれよあれよと下って、中腹のリフト乗り場を通り過ぎて駐車場までスンナリ下って来てしもた。
さぁ~て、目一杯滑った後にはお片づけが待っている。 ポカポカを通り越して初夏の陽気で照り付けるお日様 を味方に所狭しと干し物大会である。 翌日は更にヘヴィーな鳥海山が待っているからして、道具の手入れは念入りにやっておくのが吉なのだ。
因みに今回滑走した月山のGPSログマップはこんな感じであ~る。 (クリックで画像が拡大します。)
( 鳥海山編へとつづく..。 )